山下洋輔|若い頃の破天荒ジャズと伝説の「ピアノ炎上」エピソードとは?

JAZZ
この記事は約5分で読めます。

日本の前衛ジャズシーンを切り拓いたピアニスト山下洋輔氏

若い頃の演奏スタイルやプロフィール、 伝説のエピソードやスタジオクロックが感じた名盤を紹介致しておりますのでご覧ください。

山下洋輔氏の若い頃はどんな演奏?

▪️若い頃(30歳前後)の山下洋輔氏は、破天荒で唯一無二の演奏スタイルによって、日本ジャズ界に伝説を残しました。

▪️彼のスタイルは、クラシック教育で培った基礎、学生時代に没頭したジャズ、そしてフリージャズの衝撃的な自由さが融合したもので、従来の枠に収まらない表現を追求したからです。

▪️演奏スタイルを伝えるエピソードが幾つかあります。

  • ステージ上で力強すぎる演奏により、ピアノの弦やハンマーを壊してしまうほどの迫力が過激だった

  • コンサート主催者から「ピアノを壊すから使わせたくない」と言われることもあった。

  • 新宿「ピットイン」では椅子から飛び上がり、鍵盤の蓋を叩くなど全身を使った演奏で“暴れピアニスト”と呼ばれた。

  • 1973年にはグラフィックデザイナー粟津潔の企画で「燃えるピアノ」を演奏し、2008年には能登で35年ぶりに再演。これはフリージャズの象徴的なパフォーマンスとして記録されている。

このように、山下洋輔氏の若き日の演奏は過激で斬新であり、日本のフリージャズを世界に知らしめる原動力となりました。

山下洋輔のプロフィールは?

▪️幼少期〜学生時代

  • 1942年 東京生まれ。
     母がピアノ教師で、幼少期からクラシックピアノの手ほどきを受ける。

  • 1962年 国立音楽大学 音楽学科 作曲学科に入学

▪️トリオ結成とフリージャズの旗手

    • 1969年 「山下洋輔トリオ」結成
       森山威男(dr)、中村誠一(sax)らと活動し、エネルギッシュなフリージャズ演奏で注目を集める。

    • 1970年代前半 新宿ピットインを拠点に、破天荒な演奏スタイルで“暴れピアニスト”と評判に。

    • 1973年 粟津潔の企画で「ピアノ炎上」パフォーマンスを実施。映像作品として記録され、伝説化。

▪️国際的な活動拡大

    • 1974年 ドイツ・ベルリンジャズ祭に出演。海外での評価が一気に高まる。

    • 1970〜80年代 ヨーロッパを中心にジャズフェスに多数出演。
       セシル・マクビー(b)、レスター・ボウイ(tp)など海外プレイヤーとも共演。

    • 1980年代 坂田明(sax)、富樫雅彦(dr)ら日本の前衛ジャズ勢とセッションを重ね、日本フリージャズの中心的存在に。

▪️著作・教育・メディア出演

      • 1990年代 演奏活動のかたわら執筆活動も精力的に展開。
         エッセイ『ピアニストを笑え!』『即興ラプソディ』など出版。

      • 「もけらもけら」や「つきよのおんがくかい」などん絵本も手がける
      • 2000年代 慶應義塾大学・東京藝術大学などで後進の育成に携わる。

      • 2008年 石川県能登で「ピアノ炎上2008」を開催。1973年以来35年ぶりの再演として話題に。

      • とりわけこのパフォーマンスは防火服を着てピアノが燃え尽きるまで弾き続けるという前代未聞の演奏でした。かなりショッキングでした。

▪️近年

      ・2010年代〜現在
       ソロ活動のほか、オーケストラとの共演や作曲活動にも取り組み、多方面で活躍。
       テレビ・ラジオにも出演し、一般層にもジャズの魅力を広める。

山下洋輔トリオでの名盤はどのアルバム?

山下洋輔トリオの名盤は、多数紹介されています。

studioclockからみた名盤は次の2枚です。

「キアヅマ」というアルバムと「砂山」というアルバムです。

『キアヅマ』は、山下洋輔トリオが奏でる即興音楽の“交差点”を象徴する、芸術性とエネルギーに満ちた名盤です。

キアヅマ(Chiasma)」とは、生物学で染色体が交差する現象を指し、異なる要素が交わり新たな形を生むことを意味します。

この言葉は、異なる音楽的個性がぶつかり合いながらも融合し、新しい表現が生まれるフリージャズの精神を体現しています。

本作では、山下洋輔(ピアノ)、坂田明(サックス)、森山威男(ドラム)の三者が、各々の個性を剥き出しにしながらも緊張感のある即興演奏を展開。

タイトル曲「キアヅマ」では、3人の演奏がまさに遺伝子のように絡み合い、複雑かつ鮮烈なサウンドを作り出しています。

したがって『キアヅマ』は、単なるライブ録音ではなく、音楽的“交叉”によって生まれた創造の証であり、山下洋輔トリオの芸術的到達点を示す一枚なのです。

『砂山』は、日本の伝統的な旋律とフリージャズの革新性が交差する、山下洋輔トリオの代表的かつ挑戦的な作品です。

「砂山」とは日本の童謡で、海辺の砂の山をモチーフにした、哀愁ある旋律が特徴の曲です。

これをジャズトリオが大胆に再解釈することで、郷愁と混沌、秩序と自由が入り混じる独自の音楽世界を作り出しています。

1972年に発表されたこのアルバムでは、山下洋輔(ピアノ)、森山威男(ドラム)、中村誠一(サックス)の3人が、童謡「砂山」を基にしながらも、破壊的かつ即興的な演奏を展開。

原曲の面影を残しつつ、徹底的に解体・再構築するその演奏は、まさに日本的情緒とアヴァンギャルドが交差する瞬間です。

つまり『砂山』は、ただのアレンジにとどまらず、日本の音楽文化とジャズの実験精神が融合した、革新的で記憶に残る1枚なのです。

山下洋輔  まとめ

・1945年 東京生まれ

・1962年 国立音楽大学 音楽学部 作曲学科に入学

・卒業後1969年 山下洋輔トリオ結成

・若い頃(30歳前後)の山下洋輔氏は、破天荒で唯一無二の演奏スタイルによって、日本ジャズ界に伝説を残しました。

・とりわけ「ピアノ炎上」パフォーマンスは前代未聞であり、伝説となりました。

・現在ではオーソドックスなジャズピアノを展開し積極的に活躍しておられます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました